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カンペーに学ぶ組織の酒宴【中国(2)】

8月の末、中国(上海・無錫・深セン・東莞)の職場を一週間も見てからというもの、中国に関するビジネスニュースがたいへん気になり出しました。なるほど、上海だけでなく中国のあちこちの町で労働賃金が高騰しているようです。
「北京のビジネス街のコンビニがヒットしているって? なるへそ。経済成長と庶民生活の違和感たっぷりの東莞は、世界の生産拠点といわれていたのか…。ふむふむ。」
しかしこんな常識も知らずに見たこと自体を反省した方がよさそうです。
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台湾から進出している企業も数多く、今回は2社の医療関連商材メーカーを見てきました。
といっても話は事業内容や仕事内容でなく、台湾の人となりについて触れたいと思います。台湾のとくに台南の方というのは、人なつっこいというか、日本人的というか、酒の付き合いがたいへんというか。…ま、とにかく気持ちのよいオジサンたちが多い。
それにしても、こちらの方々の酒宴の席での「カンペー(乾杯)合戦」には相当の覚悟をもって臨まなければなりません。5分‥‥いやいや3分に一回ぐらいの頻度でそのカンペーアタックを誰かに仕掛けてきます。この猛攻と比べたらニッポンの若者たちのイッキ飲みなど、やさしいやさしい。

中国ビジネスに明るい方なら「カンペー」の激しさは、周知の仕来りのようですが、そのことを知らなかった私は最初から飛ばし、集中攻撃を浴びてしまいました。もーたいへん!
あんなに飲んだのは何年ぶりのことでしょう。

日本の接待などであんな飲み方を強要されてもムリですよね。高邁なニッポンの偉いオジサマたちから命令口調で飲まされるのはツラいだけで楽しさがないですよね。
しかし台湾のこの人たちは、いい表情で笑って踊って飲んでいるから、ついついこちらもノリで飲みました。それは決して旅の勢いだけではありません。

これは会社の宴会にも通ずるなあと思うわけです。その雰囲気の差で場は大きく変わります。楽しく飲めるのか、愛想笑いを浮かべ、時間ばかり気にしながら参加するのか。つまらない宴席がつまらないのは、あなたがつまらなさそうな顔をしているからです。渋滞の真ん中でイラついている原因が自分自身でもあるのと同じです。


聞けば今でも、地方の有名な料亭などにマイクロバスで出かけ、浴衣姿で膳を前にして、カラオケを披露するオジサンたちに社交辞令の拍手を打ち、ストリップを見て、麻雀をして寝る会社もあるといいます。この伝統的なスタイルが重要なら続ければいいのですが、若手がつまらない宴会をやっている会社というのは、もう例外なく会社自体も地味でつまらないのです。つまんない宴会だったら、その雰囲気を変えてしまいましょう。

…というわけで、カンペー

コメント (4)

リンダ:

こんにちは。
初めてHP覘かせて頂きました。

中国2度も。。いいですね?いかがでしたか?
視察?は、中国内の外資系会社・求人広告を提案ですか?
たぶん国民性の違い・労働法の違い等で大変でしょうね。
(日本の労働基準法・雇用法・労災・保険等に値する物は有るのですか?興味有ります)

”これから中国企業・株が伸びる!”と言われて早や何年経つのでしょう?
なかなかその実態が表に出てきていない気がしますが。
実際、行かれて経済状況・経済に対する国の国民の意識はどうなのでしょうか?
労働賃金の値上げ要求より、事業発起(使われるより使う側)への傾向は有りますか?

私自身、昔・昔の日本を見ている様で、大変好感と興味をもっていて
1つの国の経済成長過程を実際に見れる感じるチャンスとばかりに楽しみにしているのですが、
未だに”低賃金下請け”イメージが強く。。。やはり自国産業よりも外資系の参入ばかりなのでしょうか?
”すばらしい?コピー技術?”を持つ彼らに自国力経済成長を感じられましたか?
高賃金の要求よりも、実力で豊かさを掴む。いつになるのでしょう。

中国の全体の経済向上の勢いが見られないのは、
一部の都市経済成長のみで国が広すぎ、経済うんぬん全般の教育が遅れているのか
・ハングリー精神よりも、歴史を重んじるプライド高き国民性なのか 
それとも、諸外資系が力をつけた怪物を恐れ、起こさない様に良いように扱っているのか
どう思われていますか?

とにかく、外資系の参入等で数多くの成功体験をして、持っている力を発揮して欲しい国の1つです。

伊藤秀一:

リンダ様 コメントありがとうございます。


たくさん質問がありますので
全部にお応えできるかどうか自信がありませんが、
私が勝手に感じたことをダラダラと綴っていきます。


中国視察の目的は、2つありました。
いずれもクライアント企業の広報物制作のためです。
ひとつは品質向上・改善に対する取り組み姿勢をPRするための取材。
2つめは(クライアント企業で採用のお手伝いもさせていただいているので)
海外出張で繰り広げられる生々しいビジネスシーンに触れるためです。


というわけでリンダさんからご心配いただいたような
労働法など、難題は降りかかって来ず、ひと安心でした。


しかし、実際に現地の採用をするとなると、
確かに労働環境面で難題が山積みのようです。
上海などは、外資半導体メーカーが平均賃金を50%も引き上げて
人材を集めたをのをきっかけにどんどん人件費が高騰し、
今なお上昇中だと現地メーカーの労務管理マネージャーが頭を抱えていました。
周辺地域との賃金格差が2〜5倍に拡がっているようです。
それを私が聞いたのは無錫・蘇州あたりの経営者からだったので
多少はオーバートークかもしれません。


工場で黙々とライン作業をしているのは、ほとんど若い女性たちです。
オッサンたちは何をしているのでしょうね?


まだ未熟だなあと思うのは、
街を歩くヒトの交通マナーの悪さだけでなく、
ビジネス面でも経験しました。
あまり具体的には申し上げられませんが、
生産能力のキャパではハッタリ丸わかりだったり、
子供だましのパフォーマンスで管理体制を見せられたりもしました。
ま、それはそれで貴重な体験だったと思います。


同じモノを生産していても、
会社によってクオリティの差がかなりあることが
よくわかりました。


やはり生産管理に優れた企業は、
日本と同じでいわゆる「5S」が浸透しています。
製品精度、納期管理、人材教育、品質改善、労務管理が
きちんとできている企業が強い。
すると、そのほとんどは外資が入っている企業です。
私は見たのは主に台湾の企業が進出しているケースでした。
内需だけの会社とは明らかに違います。


国の認可を取るのにも、役人への賄賂は必須らしく、
日常的な手続書類のやりとりにも2〜30元を渡すと提出期限が伸びる
と冗談まじりにおっしゃっていましたが、笑えない現状です。


企業の進出スピードに比べると、
国民はまだまだ貧しい生活を強いられている地域がたくさんあるのは
走り去る街並みを見ていると実感できますね。
まばらに立つビル・マンションと、脇道のバラック。
BMWとリヤカーをつなげたバイクが併走し、
郊外に行くと高級車は消え、家畜を積んだトラックに変わります。


この混沌の中から一頭地を抜く人材が
新しい中国経済を創り上げているたくましさも感じました。
ただし、市場経済の中に生きる営業熱心なヒトも、
コピー商品を身に纏っていました。


私はそんな場面に触れ「戦後の日本の勢い」も
こんなふうだったのではないか…と、想像して、
たいへんなエネルギーを感じています。


中国全体での経済向上はなぜ起きないか?というご質問ですが、
私としては教育格差ではないかと感じていますが、
そもそも私は中国の歴史についてあまり詳しく勉強していないので
実際はよくわかりません。
チカラを付けた怪物は確かに怖いのですが、
それも政治と教育がうまく機能して、もっといい影響を与えてくれるといいな
と思いますが、そう一筋縄ではいかないのが
中国だと思います。

…なんだか頓珍漢なことを申し上げてすみません。

リンダです。:

ito様
ご返答有難うございます。
こちらこそお気軽に書かれている”つぶやきBIOG”に”へ?”な質問をしてしまいごめんなさい。
質問内容も、社風にあった的を得た小粋なものではなかったですね。
ご勘弁を。。。

ご返答くださいました現状の現地の様子。昔の中国のイメージのままに感じられました。
ビジネスに携わり、じかに体験された中国のビジネスの感想を教えて頂き有難うございます。

やはり一部の末端が外資の刺激を受けても、ごく一部の人を変えるか?のみで、
根本的に国全体も人も変わらないのかと。
すばらしいITのインドもしかりですね。
日本の様に国のトップにまで変化をもたらした程の敗戦後のすごい外圧位が無いと
国の経済・社会・教育・意識の大変貌はないのかと思いました。

今も昔も変わらぬ人々。それはそれでその国の魅力です。

貴社は、直に中国経済に携わらず
参入外資系との連携のビジネスをされていくのですね。
次回、訪れる事が有りましたら、”カンペー”には気をつけて。
酔って浮かれてハメはずし。。。酒の席での無礼講。。の日本特有の○○○接待とは違い、
虎視眈々とエネルギーを持つ国。”カンペー”の裏にも戦略有りでしょうから。

伊藤秀一:

再度のご返事、ありがとうございます。

中国全土13億人を統括する政治的問題、
市場開放と統治の歪み、民工といわれる人たちの問題、
地域教育格差の問題、シャイな労働者たちにみる中国人気質、
先の見えない巨大国家がこれからどんなチカラを持つのか。
興味が尽きない中国ですが、
私はしばらくは国内の採用支援に徹する考えです。
まだまだ課題がたくさんありますから。

10月には別の国の生産現場を見に行く予定です。

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2006年9月 3日 00:14に投稿されたエントリーのページです。

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