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20年ぶりの腰痛に思う一人暮らしの日

二十代〜三十代にかけて
ワシはかなりひどい椎間板ヘルニアを患っていました。
ゴルフをしなくなってからその痛みは
ほとんどなくなっていましたが、
なんと今年になって右腰に再発の雰囲気が…。
マズい感じなのです。

そこで思い出した。あの頃‥‥

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二十代のほとんどを名古屋今池のワンルームマンションで暮らしていた。昭和の裸電球の四畳半ってほどじゃないにしても、バブル期のぜいたくな時代とはほど遠い小さな独居房のような部屋だった。
二十代前半は深夜残業や徹夜ばかり。後半は終電過ぎまで呑んでばかり。平日にその部屋でゆっくりくつろいだ…なんて記憶はない。

ところがある日。椎間板ヘルニアがあまりにもひどく痛み、会社を夕方に失礼したことがあった。電車では辛いのでタクシーを呼び、階段では手すりに掴まり、歩くときは丈夫な傘を杖がわりに、部屋に着くとトイレに行くのも着替えるのも寝返りを打つのも、ひと苦労。
しかし腹は減る。隣の蕎麦屋にヨチヨチ歩きで出かけた。管理人のおばあさんがそこで湯呑みのお茶をすすりながらテレビ画面を眺めていた。

「こんばんわ」
「おやまあ珍しい。今日は早よ帰って来れたの」
「いや、ちょっと腰、悪くしちゃって‥‥」
「どえりゃあ辛そうだがね」

と言っておばあさんは目線をテレビに戻した。いつもここで時間をつぶしているようだ。蕎麦屋の亭主はワシの頼んだ「カツ丼ざるそばセット」をテーブルに置くと、おばあさんに向かって自らの水虫の病状について語りはじめた。ワシはそのオヤジの盛りつけた蕎麦を無言ですすった。
そして、部屋に戻って横になる。夜になると、立つのも辛くなってくる。狭いとはいえ部屋の移動は匍匐前進。人間モップ状態。

そんな日に限って、ピンポ〜ン‥‥。来客のインターホンが鳴る。頼むよ。今日はもうカンベンしてくれよ。と、必死で徒歩約5歩の玄関口へ。
なんと管理人のおばあちゃん。

「ワタシがいっつも使っとる湿布だけど、エライ効くもんで。コレ貼ってみやあ。な。効くで。ほいじゃ、おやすみの」
(;_;)(T_T)
小さなサロンパスみたいなモノを2枚、ワシに渡してくれた。本当にありがたかった。

とまあ、昭和風情の残る(というか入居したのは実際にまだ昭和だった)ワンルームマンション「メゾン・ド・タブリエ」のおばあちゃんはまだ元気なのだろうか。
自分の腰痛が再発して、今池の蕎麦屋に行ってみようと思わせてくれた。

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2012年3月10日 23:31に投稿されたエントリーのページです。

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