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銀座の請いの物語

居酒屋でビールジョッキを傾け、
口角泡を飛ばし熱弁を振るうサラリーマンの姿は、
本人たちにとっては熱い夜だ。
間違いなくそれを自分も日々繰り返している。
今週もそんな時間ばかりだった。
しかし、だ。

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それはカッコいいことだろうか。


今週、背中の席から
こんな話題が聴こえてきた。
上司が部下にお説教モードのようだった。


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結局オレたちはよぉ。
いやいやこれはオマエにも言えることでさ。
結局オレたちはよぉ、商品を売ってるようで実はな。
実は自分自身を売ってるわけよ、わかる?
客が歓んでくれてこそ
オレたちのハッピーもあるわけだ。
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うわ〜〜。
この定番中の定番ゼリフ。
人が言ってるのを聞くとなんだか
イタタタタタって感じなんだけれど、
自分もエラそうにブッてるかもしれないなあ。
気をつけなきゃなあ。


金曜日。
銀座で呑んでそんな風に
エラそうに論じていたら急にお腹のマグマが騒ぎ始めた。
噴火の予感が稲妻の勢いでやってきた。
たったひとつの個室を占領して
他の顧客の渋滞を招いて迷惑をかけてしまった。
ひとたび収まったものの、
席に戻るやいなや再びマグマがうごめく。


自ら招いた渋滞に
店のトイレは並んでいる。


ダメだ。外に出よう。
ううううう、ぐ、ぐ、ぐるしい‥‥。


銀座の雑居ビルの救援所を求めて彷徨った。
歩くこと約5分。
ようやくオアシスにたどり着いて
最悪の事態を招くことなく落ち着きを取り戻した。


しかし


我を忘れて狼狽しまくって
彷徨ったので自分がいったいどこに来たのか
さっぱりわからない。


大慌てだったので
ケータイも財布もすべて置いて出た。
店の名前もうろ覚え。


まずい。
エラそうに語っていた相手を待たせている。
超絶にカッコ悪い。
カッコ悪いんだけれど、店がわからない。
都会の迷子。泣きそう。
ワシは再びメトロの駅出口に向かい、
たどった道をやり直し、
ようやくその店に辿り着いた。


ああ、虚しく輝く銀座のネオンよ。
このカッコ悪いオジサンの一夜を取り戻せ〜〜〜〜。

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2014年3月15日 22:54に投稿されたエントリーのページです。

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