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京都の上流社会で知る、我が身の程よ。

京都に行って参りました。
「真々庵」(故松下幸之助氏の別邸)へ二度目の訪問です。
一般には公開されておらず、
歴々の経・政・財界の大物たちが来訪したという場所が醸す緊張感は、
市井に暮らす私にとって不思議な気分を味わえます。
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お茶の作法に疎い私は、
本格的茶室での席がものすごくプレッシャーでした。
作法について事前に調べたのですが
「お手前がお茶を点(た)てている間、お席主と正客は、茶道具や掛軸などの会話を楽しみ…」
などとあった通り、
正客の位置についた大手のT社長は、
ちゃんとお席主である苑長さんと掛軸の話題などで時間が進みます。

一方、私ときたら、
にわか仕込みでワケもわからずお辞儀をしまくって、
茶碗を適当に回し、ズズッと3回で飲み干し、
ぜ〜んぜん目利きなんてできないのに器を持ち上げてシゲシゲと眺めてみたり
空になった茶碗の中の模様を覗いたりして
「もうまったくド平民のくせして何してんの、ワシ」
などと考えてたら、なんだか笑いがこみ上げてしまいました。

空の茶碗を眺めながら
吹き出すのをこらえて薄ら笑いを浮かべている姿は
相手にはヘンなヤツだと思われるだろうなあ。
恥ずかしいなあ…なんて滑稽さが重なり、始終ニヤケ顔で過ごしたのです。 
ダメだわ。やっぱり上品な席は。

そのあと、E社長に
老舗の料亭「京料理なかむら」でごちそうになりました。
ホームページのメニューを見ると、
一見客が気軽にのれんをくぐれるような店ではありません。
お茶の席に比べたらずいぶん緊張感もほぐれましたが
それでも高級料亭には間違いなありません。
たいへんありがたく、いい経験でした。

しかし私は思うのです。
メシを食うのに気位を高く持ち続けるのは分不相応だな、と。
不慣れなワシは肩の力が入りっぱなしです。

会社の近所にある大衆居酒屋の大将が、
私の好みを知ってダイコンオロシの尻尾の辛味のあるところを擂ってくれる。
そういう幸せで十分なのです。平民だから。

コメント (2)

美和子:

ご無沙汰してます!シューさんの近況を育児の合間にチラチラ読みながらニヤついている私です。。。
私も先日2泊3日で京都に行ってきたばかりですよ!嵐山の川沿いにある風情ある旅館で会席を食し、温泉につかってきました。あ〜極楽、極楽。自分へのご褒美、平民にはせいいっぱいの旅でした。
しかし、いつかは私も老舗料亭の暖簾をくぐれるようになってみたいものです。

伊藤秀一:

美和子さん
コメントありがとうございます。

京都の温泉旅館でのんびり…なんてすごくいいじゃないですか。
私の場合、半分シゴト以上の緊張感がありましたから
心から楽しんだかというと、実はよくわからんのですよね。
ダラ〜ンと力を抜いて過ごしている時間が、
最近、至福の時だと思いますよ。

※お詫び
このブログに、どうも不具合があって、
コメント投稿者の方の制限をかけていないにもかかわらず、
フィルターがかかってしまうようで発見が遅くなってしまいました。
すみません。

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2007年6月 2日 16:26に投稿されたエントリーのページです。

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