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ホスピタリティ物語(長編)

近ごろのチェーン店の接客サービスって
スタッフ教育、やり過ぎなんじゃないのかと思います。
とある店の暖簾をくぐると、
「へい!」「いぃらっしゃい〜ませええ!」
誰かの「へい!」のあとに全員が声を揃えて叫ぶのなんて、
今や客も慣れっこになっています。

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笑顔で注文を取るお兄さんに向かって
「‥‥あ、じゃ生ビールを3つで」というと、
「生ビールいただきましたあ」「はい!よろこんでぇ!」
「生ビール3丁お待たせいたしましああ」「お待たせしましたあ」
と、すべて声が揃っています。


「んじゃとりあえず…」なんてジョッキを持つと
「それでは!カンパアアアイ!」
なんてことまで一緒に叫んでくれたりして、
相手は好意でやってくれてるんだから怒るようなことでもなく、
もうただ日本人的な薄ら笑いを浮かべるしかないのです。


勘定を済ませて出ていく時も
「行ってらっしゃい!お気を付けてえ!」「ありがとうございましたあ!」
と声を揃えて見送られる。


たとえは古いけれど、
『ドリフ大爆笑』のチョーさんみたいに
最後はワシが「ダメだこりゃ」って言いたくなる状況なのです。


これ、接客というより
完全なパフォーマンスだよなあ。


これとは逆に、


個人経営の薄汚れた店の
愛想のない店主のいる店にもうんざりしますね。


立ち呑み居酒屋なんて流行ってますが、
立ってたら全然くつろげないのでワシは足が向きません。
そしてワシは近ごろ
積極的に肉を食いたいと思わなくなりました。


で昨日、初めてお会いした
運送会社の経営者に連れていっていただいたのは‥‥
恵比寿の「縄のれん」。


小汚い店構えの
立ち呑み居酒屋で
料理は肉ばかり
飲み物は瓶ビール、ハイボール、冷や酒のみ。
オヤジは無愛想極まりない。


どひゃあああああ。 上記の全部が揃ってます。
むむむ。キンチョーする。


しかし食ってみたら驚いた。
モツの煮込みがうまい。
レバーステーキ、ハラミ串なんてのがうまい。かなりうまい。
ヤカンで注いでるハイボールなんてのも
最近流行ってるから扱いはじめたってワケでもなさそうで、
昭和の頃からの「元祖ハイボール」な風情で
なんだかとってもオツです。


焼き場にいるオジイサンは終始無言。
お兄さんが常連と話し込んみながら手際よく煮込みを注いでいます。
ヤカン担当のお母ちゃんもテキパキと動いています。
客のほとんどがハイボールを飲んでいますから
お母ちゃんは結構忙しいのです。


サラリーマン軍団や
初老の野球帽オヤジ一人酔っ払い客、
昭和50年代のホステスさんみたいな一群が、
無秩序に注文を出す。


「こっちレバー串4本」
「煮込みもう一皿追加ね」
「ハイボールおかわり」
「ハラミをステーキでもらおうかな」


なんてオーダーにオヤジは返事さえしません。
究極のぶっきらぼう。


その上、お母ちゃんに向かって
「余分なことすんじゃねえ!」「バカヤロウそうじゃねーだろー」
なんて怒鳴りはじめた。


‥‥おいおい。感じ悪いな。
と思ったワシはまだまだ完全にシロウトだった。
それもこの店の名物らしい。


ハラミ串2本を別のテーブルに
間違えて持っていったお母ちゃんを指摘しているのです。


顔も上げずに、返事もせずに、
誰が何を注文したのか全部わかってる無愛想なオジイサン店主。
ステーキや串焼きの焼き具合だけじゃなく、
客の注文を聞き分けてたのです。


なんでわかってんの?


しかも帰り際、運送会社社長がワシを指して
「このヒトのオフィス、こっから近いからまた覚えといてあげてね」
と紹介してくれたら、頷きながら
「こんな店でよければいつでも寄ってください」
と言うその後ろでお母ちゃんと息子も笑顔でこちらを見ている。


また来ようと思いました。


いい接客ってなんなんでしょうね。

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2009年9月15日 19:35に投稿されたエントリーのページです。

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